d_682389 エルフール亡国史

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月のない夜、森は静まり返っていた。

エルフの精鋭騎士団は、遠征の最終日を迎えていた。
任務はオークの討伐。
これまで幾度も成功を収めてきた彼らにとって、それは‘消化試合’にすぎなかった。

焚き火の周囲で笑い声が上がり、哨戒の警戒もどこか緩んでいた。

「すぐに任務を終わらせて帰還できるだろう」
――誰もがそう信じていた。

だが、夜風が変わったのはその直後だった。

かすかな唸り、葉擦れの音、そして――闇の奥から放たれた一本の矢。

「矢だ!

敵襲っ!

どこから撃ってきてる!?」
悲鳴が重なり、灯りが散る。
矢が空を裂き、森が戦いの喧騒に満たされる。

「煙幕か!?

前が……見えない!」
混乱の叫びが広がる中、指揮官の声もかき消されていった。

「落ち着け!

陣を立て直せ!」
「退けない!

もう敵に……囲まれて――」
次々と倒れる仲間の影。
夜の森に、鋼と血の音だけが響いた。

敵はかつての粗暴な群れではない。
統率を持ち、戦術を知る‘軍勢’だった。

エルフの矜持は、たやすく踏みにじられていく。

「こんな……馬鹿な……」
「我々が……こんなあっけなく…」
そして、抵抗むなしく敗北が決したたとき、
メスエルフたちを蹂躙する、
オークたちによる肉欲の宴が始まるのだった。

フルカラー
36P
(本編35P

表紙など3P)
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